北の零年

明治維新の末、淡路に暮らす稲田家の面々は北海道への移住を命じられる。極寒の地に自分達の国を作ろうと張り切る彼等だったが、様々なトラブルに襲われ、身内や武士階級を失い、次第に希望も失くしてゆく。そんな中、リーダー格の渡辺謙が農業技術を学ぶため札幌へ旅立つが……というお話。
まあ、娯楽大作のなり損ないってところでしょうな。まだ誰にも感情移入できないうちから、何か不幸が起こる→くずおれるみんな、が繰り返される前半はあまりに茶番劇っぽくてかなり引いた。渡辺謙が戻って来なくなってからの展開はわりとドラマになっていて悪くはないのだけど、ラストは“裏切り者”を前にしないとみんなが団結できなかったみたいで何とも。でもそれはそれで結構盛り上がりはするのでいいか。
キャストはいろいろいて大変ですよ。主演の吉永小百合は終始紙芝居読んでるみたいな芝居がなんだか気持ち悪くてダメ。娘役の石原さとみはえらくブサイクに映ってて、心配になってしまった。ドラマとかでは普通に可愛いのに。男優陣はカッコいいところを全て豊川悦司に持って行かれて大変。えらく不公平な脚本だなあ、とは思いつつトヨエツはそれなりにカッコよかった。で、僕のお目当て香川照之はいつも通りヘタレ+サイコな演技で満足。特筆すべきは吉永小百合を追っかけるときの走り方で、あの腕の動きは素晴らしいと思う。あと個人的な趣味としては前髪を長く垂らした状態のこの人が好きなので、渡辺謙に必死でお願いたり石田ゆり子になでなでしてもらってる終盤の出番に最も胸を熱くしました。