カート・ヴォネガット・ジュニア『スローターハウス5』

時の流れの呪縛から解き放たれ、時間旅行者となったビリー・ピルグリムは、第二次世界大戦時にドレスデン爆撃を経験したことから、宇宙人に誘拐され実験動物にされたこと、妻や娘と送る裕福な生活まで、様々な時をはしごしてゆく……というお話。
面白かったけど、なんと感想を書けばいいものか……。大量殺戮の後には文字通り“何”も残らない、というようなイメージが微妙に湿り気のある突飛なユーモア混じりで描かれて、もうゴチャゴチャなんだけど確かにその虚しさは伝わる、という感じ。時系列のシャッフルは映画でよく見る手法ということもあって、あまり主人公が時間旅行してるという感じのしないあたりが少し残念。出て来る人がみんな綺麗にいなくなるあたりが好き。
で、七尾旅人ファンとしては「プーティ ウィッ?」の元ネタを初めて読んでははあ、という気持ちもあるわけです。旅人はこれ読んだことないらしいけど。