大石圭『殺人勤務医』

人工中絶専門医の主人公は人当たりが良くみんなに慕われている人気者だが、実は次々と地下室に人を閉じ込めて嬲り殺してゆく殺人鬼だった。彼の次なるターゲットは……というお話。
シリアル・ママ』みたいな動機と『セブン』みたいな方法で人を殺すサイコキラー、というのもなかなかながら、人殺し以外の主人公の日常描写がまるでステキな生活啓蒙エッセイみたいなのが笑える。オチは見え見えだし殺害の描写に鬼畜度が足りないのはいくらか不満だけれど、全編を通して一定したトーンでなんとなく落ち着けるのが好み。普通なら鬱陶しくなるはずのトラウマネタまでいい意味で投げやりに描いていて巧いですね。
で、この人はどうして最近ホラー及びサスペンス映画のノベライズの仕事が多いんでしょうか。