アントワーヌ・ベロ『パズル』

四肢の一部を切断されて持ち去られ、代わりに切断箇所と同じ部位を写したポラロイド写真が残される、という連続殺人事件。狙われるのはジグソーパズル業界の関係者ばかり。この謎を探るため、関連するテキストが集められたが……というお話。
↑のようなあらすじはかろうじて読み取れるレベルで、基本的に(架空の)ジクソーパズルブームの盛衰に関わる大量のテキストがザーッと並べられただけの本になってます。リーダビリティなんてものは欠片も存在しません。でも面白くないわけじゃなくて、パズル協会の内輪揉めだのブラジルでのスピードジクソー*1の根付きっぷりだのを記したうそんこテキストは確かにちょっと見られない馬鹿馬鹿しさ。それでも僕はさすがに退屈しましたが。作品全体の構造と密接に関連したミステリとしてのオチもあまり印象に残らず。
と言うわけで、本格ミステリマニアの方々にはそれほど喜ばれない本かと。裏表紙に騙されないようにご注意を。

*1:ジクソーパズルを早く組み立てる(架空の)競技。