平山瑞穂『ラス・マンチャス通信』

両親と姉と僕で暮らすこの家の中は“アレ”がうろつくせいでいつも不穏な空気。陸魚の死骸が放つ臭いも耐え難い。ある日姉にのしかかっていく“アレ”を止めようとしてついに僕は……というお話。
これは変だ。もっと変に感じられてもいいのにあまり変に感じられないところが変。それってたぶん世界設定が暗黒ファンタジーなのか登場人物の頭が暗黒ファンタジーなだけなのかよくわからないせいなんだけど。起承転結の“起”が語られているうちにいつの間にか“結”に達してしまってまた次の“起”へ、ってな章立てもなんとも据わりが悪くて面白い。ただ、最後の最後で何やら据わりのいいオチがついてしまってるのが勿体無い。モヤモヤのままでよかったのに。
火山灰の降る町で通風管の掃除をする仕事、とか、このあたりの設定なんて本来魅力的なはずなんだけどあまり魅力が伝わらなくてふしぎふしぎ。やっぱり変だ、これ。