いま、会いにゆきます

愛する妻と母を亡くした父と息子。だがある日、彼女は最期に言い残した通り雨の季節に生前の姿のまま戻って来た。記憶を無くしている彼女に自分達のこれまでを説きながら、三人は再び幸せな時間を過ごすが……というお話。
えーと、ラストで明かされるSF的設定がどうも巧く機能していないような。彼女が“会いにゆく”ことを選択したのは別段すごいことでもなんでもない、むしろ当然のこと、という風に見せなければダメなんじゃないか。こっちは悲壮な決意なんかよりも恋愛というものの“しょうがなさ”が見たいんだから。ともあれ、家族の二度目のお別れシーンあたりはそれなりに泣ける仕上がりになっていて悪くはない。惜しむらくはあの“手をポケットに入れる”やり取りで……あれって、男は手を入れないほうがロマンチックではないかと思うんだけど。
主演の中村獅童は自己卑下してみせる素振りがやたらとナルシスティックな感じに見えてしまって鬱陶しい。脚本のせいもあるだろうけど。母親役の竹内結子と息子役の武井証は良し。特にこの武井証という子は無邪気さの質が良質でいいかも。あと、チョイ役にまでネームバリューのある人を使うキャスティングは逆に安っぽいっ感じがしちゃいますね。