理由

あらすじは原作(→感想)に同じく。
いやー新年早々凄まじいトンデモ映画を観てしまった。ストーリーはほぼ原作に忠実に、事件の関係者の証言パートと事件の再現パートが交互に挟まれる形式で、証言パートと再現パートの境界線がときどき曖昧になるあたりなかなか刺激的な試みで面白いじゃないの、原作よりずっといいな、と平常心で観ていたものの、ラストに至って動揺してしまった。何あの最後のCGシーン。字幕の出方。笑わす気か。極めつけはエンディング・テーマで、おそらく出演者と思われる人達が順番に「さ〜つ〜じ〜ん〜じ〜け〜ん〜が〜む〜す〜ぶ〜き〜ず〜な〜♪」という歌詞だけを延々歌い続けるという彼岸の世界。この一本筋の通ったトンデモっぷりは結構好きかも。原作を未読の方にこそお薦めしたい。あ、普通に観ても原作より登場人物に感傷移入しやすいいい映画ですよ、きっと。
主要キャスト40人ほどがほぼ同等に扱われる中、おそらく一番セリフの多いマンションの管理人役岸部一徳が抜群の好演。この人の淡々とした台詞回しと無表情が映画全体のトーンを決めていると言っても過言ではないくらい。他、個人的に気になったのは、一昔前の文学青年みたいな演技がハマっている細山田隆人、二人並ぶと途端に尋常じゃなくエロい空気が漂い出す宮崎将・あおい兄妹あたり。久本雅美のカツゼツの悪さと厚木拓郎の棒読み演技はどちらも重要な役だけに勘弁してほしかった。