赤い月

第一次世界大戦の最中、夫と共に満州へ渡った自由奔放で恋多き女・波子は、軍の庇護下にある夫の造り酒屋の成功によって優雅な暮らしを満喫していたが、ソ連の侵攻を向かえ、裸一貫で逃げなければならなくなり……というお話。
うーん、今年最後の一本がこれか。役者の演技も、映像もストーリーもなんとも安っぽかった。色調が不自然にコントロールされた画面は技術的に数段劣っているはずの『カラー・オブ・ハート』(→感想)あたりと比べても全然趣きってものがないし、お話のほうはなんかいろいろ飛ばしすぎ。波子の夫はいつの間に祖国万歳な人になったの?締めのセリフまで寒々しくてある意味清々しかった。
で、問題の出演陣ですが、最悪なのが主演の常盤貴子。役割としては“美人女優”なのにドレスより防災服のほうが似合ったり、ダンスしてるとこが何かの曲芸にしか見えないというのはどうかと。他、波子の元愛人役の布袋寅泰やら諜報部上官役の山本太郎あたりにも大きな問題があるな。その点波子の夫役の香川照之はいつもの“サイコ寄りのヘタレ”キャラなので安心して見られる。やはりこの人は帽子がお似合い。それから意外に悪くないのが波子の想い人役の伊勢谷友介で、あの気色悪い台詞回しもちゃんと活きている上に全キャストの中で一番顔と体が綺麗に撮られている。あと、大杉漣が中国人役で出て来てカタコトの日本語を喋るのが笑えた。