鬼が来た!

終戦直前の中国の田舎村。日本軍に占拠されたそこで、主人公の青年の元にある夜二つの麻袋が届けられる。中から出て来たのは日本兵とその通訳。この二人をかくまい、尋問しろと脅された彼は慌てるが……というお話。
日本軍も中国人もみんなアホアホな行動しか取らない前半部はなかなか楽しめた。通訳が意図を捻じ曲げて訳すせいで事態が混乱するくだりなんかは面白い。でも後半になると正直登場人物の心情にほとんどついて行けず、置いてきぼりを食らった感あり。理不尽な暴力というものは行使される方とする方、両方に被害を与えるのだ、というイメージは受け取ったのだけど。
出演者は全体的に“巧い”演技を要求されていない感じがするものの、印象に残ったのは通訳役のユエン・ティンという人。軟弱なくせにやかましい、人をムカつかせる役柄にふさわしい演技だったと思う。捕まった日本兵役の香川照之は終始大変そうで、その意味では見物だったのだけど、どうも脚本に演技がついて行っていない印象が。「お兄さんお姉さん、新年おめでとう!」は名ゼリフ。