サイモン・クラーク『地獄の世紀』

ある日突然、世界中の大人が理性を失い、無差別に子供を殺し始めた。追い詰められた子供達は子供だけのコミュニティを作り、密かに集団生活を営んでいたが、その内部でも様々な問題が生じ……というお話。
王道ゾンビ物な序盤はなかなか楽しいのだけど、中盤を過ぎてガキどもの権力争いみたいな話になってくるといくらか退屈してしまった。ゾンビ(じゃないんだけど)に咬まれるとゾンビになるというお約束設定がないのが何とも寂しく、そのぶんスリルに欠けている感じ。オチで語られるトンデモ理論にもあまり魅力が感じられなくて、読後はちょっと『万物理論』の時にも似た「主人公、そんなタマかよ」ってな引っ掛かりが残ってしまった。