美しい夏キリシマ

終戦直前の夏、少年康夫は療養のため学校に行かず田舎で休養措置を取っていた。彼の心には目の前で死んだ級友のことが重くのしかかり、そんな彼に周囲も対応を戸惑いつつ、それぞれに悩んでいたが……というお話。
戦争映画とは言えわかりやすい悲劇は存在せず、ただ素っ気無い悲しみがあるだけ、という静かな映画で結構面白かった。戦争未亡人となった女性絡みのエピソードは特に消化不良で何だか印象深い。舞台となる霧島の風景も美しく撮られているのだけど、少しばかり作り物っぽい感じがしちゃうのは残念。
主演の柄本佑は鈍い演技なんだけどそれが“ショックのあまりボーッとしてしまっている少年”という役に合っていて効果的。小田エリカもいくらか控えめで悪くない。僕のお目当て・香川照之は小さな役でそれほど印象には残らなかったけど、またもバッコンバッコンだった。キャストで浮いていたのは顔の芝居が過剰な寺島進くらいかな。