歩く、人

代々酒屋を営む家の偏屈親父は妻に先立たれ、最近若い女に惚れ込んでいる。父の世話を役目とする次男は彼女との仲が悪化。そんな中、長い間絶縁状態だった長男が母親の三回忌に帰って来ることになり……というお話。
主人公の老人が歩くところが延々映されたり、いかにも“リアル”で不毛な(でもヒリヒリしない程度の)会話が交わされたりするタイプの娯楽性の低い映画でちょっと鼻につく。そのわりにラストが感傷的なあたりさらにタチ悪い気が。一旦“リアル”から離れれば、変なギャグとか奇妙な音楽の付け方なんかを楽しめたりもしたのだけど。
主演の緒方拳は巧い。と言うか、普通の意味で“巧い演技”をしてるのはこの人だけで、他のキャストは妙にセリフが棒読み。香川照之ですらそう。このへんの演技の付け方もまた鼻につくところではある。