桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』

裕福じゃない家庭に引きこもりの兄まで抱えた現実主義のちょっと冷めた女の子なぎさのクラスに、ある日藻屑という女の子が転校して来る。彼女は自分が人魚だと言い張る変な子で、でもどうやら虐待に遭っているらしく……というお話。
最初っから示されている通りに起こる悲劇についてはそんなにガツーンとは来なかったのだけど、「でもこれだって傍から見れば大したことないこと」という視点がある(ように思われる)のが好印象。あと、サブキャラの描き方がいい。担任の先生とか野球部の男の子なんてむしろ主役二人より心乱されるキャラだった。それにしても、この挿画は小説の雰囲気にまるで合ってないように思うのだけど、どうなんだろう。
某海外ミステリ古典からのネタの引用の仕方については面白いと思った。でも僕あの短編って小学生の頃ネタ本で読んだだけなんだけど。