早瀬乱『レテの支流』

主人公はこれからの人生を生きやすくするため、かつて人気バンドのボーカルとして一世を風靡した栄光の記録を記憶消去装置で消すことに。しかし記憶消去後彼は妙な幻聴や幻視に悩まされ、おまけに他にも無くなっている記憶があるようで……というお話。
第11回日本ホラー小説大賞長編賞佳作受賞作で、次々と周りの人々が死んでいく現象についての意外な“ルール”は確かに面白いネタではあるかも。でもそれまでの展開が無闇に長すぎでしょーこれは。硬めのぎこちない文章もあいまって読み進めにくい。大森望による解説で映画『ファイナル・デスティネーション』(→感想)の名前が出てるけど、いっそあの映画くらい早めに「誰が死ぬか」についてのネタを割っちゃったほうがハラハラドキドキ感ももう少しあったんじゃないかと思う。
あと、登場人物の心理に一貫性がないにも程があると思った。いつの間にあんな夫婦ラブラブに?