ジェイムズ・エルロイ『ブラック・ダリア』

元ボクサーの警官ブライチャートはロス市警特捜課で同じく元ボクサーのブランチャードとコンビを組むことになり、その恋人のケイとともに充実した日々を過ごす。だが、黒ずくめの女が惨殺された事件以来、彼の人生に次第に影が落ちていく……というお話。
エルロイ作品は初読みなのだけど、まあ、ふーん、という感じ。特に感心や感動はなかった。終盤、どんどん“黒さ”を増しながら続く急展開に翻弄される感覚は心地良くはあったけど、圧倒されるところまでは行かなかった。困ったのは肝心の<ブラック・ダリア>の影が薄いことで、これならあの一家の恐ろしい内幕にスポットを当ててくれたほうが面白かった気がする。微妙に救いのあるラストもなんだか拍子抜け。
それにしても、ブライチャートとブランチャードって。ややこしすぎ。