アイザック・アシモフ『停滞空間』

偉大なるアシモフ大先生の第四SF短編集。とか言ってアシモフ作品は初読みなのだけど、感想としては「ああー……やっぱり面白いんだなあ、このへんって」という感じなので、勝ち負けで言えば負けた気分です。そんな個人的な感慨はどうでもよくて、地球人類の現代文明を皮肉っぽく捉えるためにSFネタを持ち込んでるって印象の「プロフェッション」「ナンバー計画」「やさしいハゲタカ」あたりは特に気に入った。
「プロフェッション」は精神薄弱って言葉の出し方と救いのあるようなないようなオチが好き。要は管理社会モノの変形なのだけど、最初のうちは全然どんな話だかわからないのが面白い。「ナンバー計画」は未来の世界、ある人物は自分の発明を悔やむ。でもその発明ってのはダイナマイトとかじゃなくて……という捻った筋立てに大笑い。「やさしいハゲタカ」は、これはもう戦争批判ですらなくて、ただそのバカさを笑い飛ばすだけという皮肉な根性がたまらん。宇宙人の視点をこんなことのために持ち込みますか、と感心。
SFって(特に短編は)読めば面白いんだけどなあ。どうして手が伸びないんだろう。