2046

花様年華』(→感想)の後、香港に戻り作家業に適当に精を出しながら女漁りを続ける作家トニー・レオンが住むホテルやその周辺ですれ違いを演じる恋人達。トニーは彼等の恋愛模様をそのまんま自作のSF小説に描き込んでいく……というお話。
終始抑制の効いた演出が大人なムードを醸し出していた『花様年華』とは打って変わって説明が過剰なわりに意味不明という困った事態に。一つ一つのカットはとても綺麗なんだけど繋ぎ方がすごい変なの。トニーや木村拓哉のモノローグによる説明もSFパートの挟み方もわけがわからん。そもそも登場人物が多すぎるのでは?トニーとチャン・ツィイーフェイ・ウォン木村拓哉以外の名のあるキャストは全部いらない気がする。チャン・チェンなんて登場シーンほんのちょびっとで、期待したファンは怒るんじゃないかこれ。まあでも根本にある偏執的な部分にはいくらか好感を抱かないでもないんだけど。
トニーは例によって身勝手だけどそれに無自覚で、そしてそんなところが魅力的だったりするダメ男の役で安定。フェイ・ウォンは特に“演技”しなくても魅力的に見える儲け役ですな。何だかんだ言ってあのカタコト日本語にグッと来た人は多いはず。それに比べてちゃんと自分の演技でキャラを立てているチャン・ツィイーは偉い。木村拓哉は重要なんだけど“透明”であることが求められるような役所で、これは得なのか損なのか。とりあえず七三分けにすると顔が汚く見えて萎えました。