谷川流『涼宮ハルヒの憂鬱』

退屈なこの世界に飽き飽きし、宇宙人やら未来人やら超能力者やらを求めて暴走する美少女転校生涼宮ハルヒに振り回される主人公キョン。彼女が結成した「SOS団」にも変人ばかりが集まるが、彼等は実は見えるよりもっと変な奴等だったりもして……というお話。
ナイス発想な小説ですな。巧いです。ライトノベルの王道である学園ラブコメを無理矢理SFの文脈に持ち込んで、“登場人物の変わり者っぷり”も“主人公とヒロインの付かず離れずな関係”も“ヒロインの破天荒な性格”も全てその文脈の中で意味を持たせてしまい、引き離せないくらい2ジャンルをがっちりと融合させてます。ラスト、あれで解決するのは何故かもうちょっと納得させてほしいとか、主人公のSF的な物に対する憧れの行き場がいまいちわからんとか、不満はそのくらいかな。パロディ的ですらある王道キャラ設定のいじり方までいちいち楽しませていただきました。普段ライトノベルなんか読まない方にもお薦め。
それにしても古泉君のイラストが段違いに少ないな。いや、別にちっとも欲しくはないのだけど。