R・D・ウィングフィールド『フロスト日和』

送別パーティーで署員がみんな盛り上がっている中、浮浪者殺害事件、連続婦女暴行事件、少女失踪事件、売上金盗難事件、金貨盗難事件……等々に次々と眠る間もなく担ぎ出される署のお荷物フロスト警部とその部下ウェブスター。全ての事件が片付く日は来るのか?ああっ、それにしても眠い!というお話。
ちょっと想像も出来ないくらい多種多様な事件が次々に起こるのに、読んでて全く混乱しないどころかそれぞれの事件のつながりに思いを馳せることすらできる、素晴らしく上手に整理された話の流れにまずは感心。それでも序盤は若干退屈する部分もあったのだけど、一度フロスト警部のだらしないけど人が良く、思いやりのあるキャラクターに惚れてしまえば長い長い分量もあっという間。血気盛んな生意気若造キャラウェブスターを始め、小さな脇役までいちいちキャラが立っている描写力にまた感心。ラストには一応“意外な犯人”まで出て来たりして、いやいや、楽しい読書体験でしたよ。
それにしても、ウェブスターってシリーズキャラじゃないのか……。残念。映画化の際はウェブスター役は是非イーサン・ホークで。