夏休みのレモネード

アイルランドカトリックの大家族の一員・少年ピートは、ユダヤ教徒を改宗させるという“探求”を試みるうちに白血病の男の子ダニーと出会う。ユダヤ教徒の彼のためにピートは「天国へ行くためのテスト」を考え、ダニーがそれを全てクリアできたら聖体拝領をする決めるが……というお話。
子供と宗教ネタのせいで何やらきわどい方向に進みそうに思わせるもちゃんとウェルメイドに落とした佳作。ストーリーは予想できる範囲を一歩も出ないし、終盤の会堂のシーンなんてセリフで説明しすぎな感もあるのだけど、全ての登場人物の悩みが解決されるラストは心地いいし、何より二人の子供の触れ合いが実に微笑ましい。DVDジャケット*1にもなっている「背比べ」のシーンなんて不意を突かれて目が潤んでしまった。嫌味のない子供モノが見たい方にお薦め。
キャストで素晴らしかったのはピートの“いろいろ融通が利かないけど根はいい人”な父親役のエイダン・クイン。意地を張る姿がチャーミングなのがいい。『隣のヒットマンズ』(→感想)では最悪だったケヴィン・ポラックもダニーの父で穏やかなユダヤ教徒ラビ役を好演。さらに『アメリカン・パイ』シリーズのフィンチことエディ・ケイ・トーマスがピート一家の長男役で出ていて、演技の巧拙とは無関係に目が釘付けになってしまった。イメージとのあまりの違いに思わず笑いが。