歌野晶午『魔王城殺人事件』

講談社ミステリーランド叢書から出た歌野の新刊。ぼくたち“51分署捜査一課”のメンバーが近所にある謎の西洋館デオドロス城に潜入してみたら、不思議な女の人が小屋に入ったまま消えてしまった。おまけに二度目は死体が消え、遠く離れた場所で発見された!ぼくたちは真相を探るが……というお話。
まあ、歌野なので。いつものごとくウェルメイド。子供向け作品なんだけど子供キャラはワトソン役に甘んじさせるという展開も巧い具合にバランスが取れてる。トリックはかなりありがちなんだけど日常の謎派的ムードに覆われてなんとなくアリになっているという感じ。ただ、この人はセンスのいい人ではないので、細部の描き込みで“子供向け”を狙ったつもりがただ単にダサくなってしまっているところが多いかも。
それにしても、久々に信濃譲二じゃない名探偵キャラが出て来たと思ったらこれまた思いっ切り信濃譲二とかぶってるキャラでなんだか笑えた。