貴志祐介『青の炎』

主人公は成績優秀な上にいろいろとススんでる男子高校生。彼は優しい母と明るい妹との幸せな家庭で暮らしていたが、そこに突如としてある“男”が闖入して来る。彼は母と妹を守るため“男”を殺害する計画を練るが……というお話。
倒叙ミステリの形式を借りた青春小説。ある意味ナルシスティックですらあるわかりやすーいラストまで用意してあるわりにはどこかしら歪んでいる感じがして、それは一貫して非・リアル志向(だよな?)のキャラクターに無理矢理生々しいことをさせるという変な試みのせいか。それともこういうのをエロゲー文法って言うの?下手にリアルぶってないぶん不快感を感じずにすんで良かったし、読みやすい文章にドラマを上手く盛り上げる伏線の回収の仕方と、楽しめるところもいろいろ。
いやでもほんと、こんなに嫌味な主人公をムカつかせずに描くってのは大したものだと思いました。