レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』

私立探偵フィリップ・マーロウは酔っ払いテリーを何度か窮地から救い親しくなるが、彼は妻を殺害したと告白する手紙をマーロウに残して自殺してしまう。その後、マーロウは人気作家ウェイドの悩みに付き合うことになるが……というお話。
言わずと知れたハードボイルドの古典中の古典。とにかくマーロウがかっこいい!と思えたのでまずは満足。嫌味になる寸前で踏みとどまったようなマーロウのスカシ描写は巧ーくバランスが取れてる。さらに荒廃した街を描写しても妙に清潔感のある文体と、乱れ飛ぶ気の利いたセリフの数々。「ギムレットにはまだ早すぎるね」ギャー!おまけにお話の大筋は男の友情が哀しい結末を迎えるってな代物なもんだからこれは激しく僕のツボ。ラストシーンの余韻が実に奥深い。いや、面白かったです。他のも読みたい。
余談ですが、SAVAGE NIGHT*1コラム内の『(やおいを嗜む婦女子のための)ハードボイルド読書案内』はとても素敵なブックガイドなのでお薦め。