エラリイ・クイーン『第八の日』

映画の脚本書きで疲れ切ったエラリイは砂漠の真ん中で迷った末、文明社会から隔絶された閉鎖的な群落に辿り着く。そこでは人々は犯罪という概念すら持ち合わせていなく、しかし、そんな中で殺人事件が起こる。エラリイは文化のギャップに翻弄されながら犯人を探るが……というお話。
たぶんこれは前期クイーンをある程度読んでいたほうがずっと面白いお話。よって僕にはいまいち楽しめない部分があった。それでも伝説の本に関する大ネタ(かなりバカミス的)、さらに真犯人を突き止めた後のエラリイの苦悩、哀切、そしてラスト、厳かにある人物が登場する場面でスッと世界が遠のく感じなどなど、面白かった部分もいろいろ。真相をみんなに説くにあたって「指紋の照合」という概念から説明しなきゃいけなかったりする異世界ミステリならではの馬鹿馬鹿しさなんてのも素敵だ。
ちなみにこれから少しずつ後期クイーンを潰していこうかと思っていたりします。面白いのがあったらお薦めお願いしますね。