クリストファー・プリースト『魔法』

爆発事故によって怪我を負い、部分的に記憶を失った報道カメラマン。ある日彼の療養所を訪ねて来た女性は彼と恋人同士だったと名乗り、彼も彼女と過ごすうちにその記憶を取り戻すが、彼女の話には奇妙な点があって……というお話。
予備知識を持たないで読んだほうが面白い本だと思うので、あらすじはなるべくぼかして書いてみました。『奇術師』(→感想)と同じく、一つの現実を語っているはずなのに齟齬が生じてしまう二つ(三つ?)の物語、その歪み加減が雄弁に語ってくれて、でも何言ってるのかはわからない、というところが面白い。彼女の体質に関する記述も説得力があって良し。でも最後のオチの意味がまたしても僕には理解が及ばず、多大な謎が残ってしまったのが辛い。今度物知りさんに聞いてみよう。
で、ちょっと思ったのだけど、西澤保彦の某作ってこの小説とネタかぶってるよな。