小林泰三『ネフィリム 超吸血幻想譚』

可愛い女の子に「血を吸うなんて怖いことしちゃ嫌よ」って言われて吸血を止めた最強の吸血鬼ヨブ、妻子を吸血鬼に蹂躙された挙句殺されて復讐鬼と化した警官ランドルフ、吸血鬼も人間も等しく下等生物と見なす謎の“ストーカー”、J。この三人が三つ巴になって戦うお話。
今回は物語全体の意味がひっくり返るようなオチもひねくれたパロディもない代わりに、ひたすら燃える展開が続く続く。あくまで血を吸わず戦おうとするヨブは終盤凄まじくカッコいいし、人間の武器で果敢に人外の者に挑もうとするランドルフの戦いも素敵だ。それでいて対吸血鬼用武器“内骨格”だの、Jの他人の細胞を取り込む能力*1だの、吸血鬼の催眠能力だののグロい小ネタの扱い方はいつも通り悪趣味なのがよろしい。面白くて一気読みでした。
ただ、何だ!この終わり方は!続きが気になって仕方ないだろうが!“ストーカー”って結局なんだったのかもミカとルーシーの正体もゲイルって誰なのかも全部わからん。もっとも、それは僕がネタを理解できてないからかもしれないのだけど。

*1:これをしてる場面の描写がまるでゲイ・レイプ。たぶん意図的。