ヴィレッジ

19世紀末、外界から隔絶したペンシルバニア州の小さな村。その村の住民は互いに愛し合い助け合う、まさに理想郷のような空間だが、村の周囲の森には怪物が住んでいるという言い伝えがあり、そこへ入ってはいけないという掟があった。しかし今、婚約者の命を救うため、ある一人の女性が森を抜ける決意を固める……というお話。
いやーこれは期待しすぎました。期待しすぎて期待外れ。村の秘密に関するオチは、観る前に十個くらい考えたオチ予想のどれよりも単純なもので、正直拍子抜け。“壁”を越えた彼女の前にやって来たのは……のシーンはさすがに絵面に力があって面白いけれど。それよりもシャマラン作品お馴染みの電波っぽいキャラの描き方に注目すべきなのかな。
主人公の盲目の女性は“無垢”とか“愛に生きる女”とか言うより完全にストーカー的独り善がり思考の持ち主で、たまたま両思いだったからいいようなものの、そうでなかったらこの話はサイコホラーになってしまうところでした。そんなキャラに無理矢理薄幸でひたむきな役割を演じさせて本筋を引っ張らせているあたりが面白い、と言えなくもない。
その盲目の女性を演じるブライス・ダラス・ハワードは意志の強そうな目が狂信的なものを感じさせて役にぴったり。でも魅力的かと言うと微妙。主役かと思わせて実は違うホアキン・フェニックスは物腰穏やかで落ち着いた役柄なんだけどこの人が演じてるとただ何も考えてないだけの人みたいで、でもそこが可愛いので良し。