インサイダー

有力タバコ会社の元幹部ラッセル・クロウは有名ニュース番組のプロデューサーアル・パチーノの要請を受けて、タバコには中毒性があるとの内部告発に踏み切る。しかし実際に証言した後もタバコ会社からの圧力は続き……というお話。
前半のラッセル・クロウが証言すると決心するまでの話はなかなか。アル・パチーノのセリフにもある通り、別に勇気があるわけでも高潔でもない普通の科学者ラッセル・クロウがもうグッタリな精神状態に追い込まれ、苦悩しながらも、それでも立つ!という、厳かに湿っぽいドラマとでも言うべき流れが面白い。宣誓証言の場から出てきたラッセル・クロウアル・パチーノが微笑み合うシーンにはちょっとグッと来た。
それに比べると後半のアル・パチーノが主役になってからの話は些かまだるっこしく、「俺は絶対に情報源を守る!」ってんならもっと早く守ってやれば良かったのに、と思わせられてしまった。インタビューの裏話が載った新聞が届けられるシーンなんかは感動的で良いのだけど、だからそれをもっと早く……。
メインキャストの二人のうちでは断然ラッセル・クロウが好印象。僕はこの人基本的に嫌いなんだけどこの映画の彼は好きですよ。アル・パチーノも特徴的な声が活きていて悪くないんだけど、少しうるさいのがマイナス。