飛鳥部勝則『レオナルドの沈黙』(背景色でのネタバレ含)

遠隔地から思念によって人を殺して見せると宣言した霊媒師。彼の予告通りに死人が出、しかも現場は全ての家財が家の外に出された奇妙な状態に。数ヵ月後、全く同じ状況でまたも死人が……。美形の芸術家探偵はこの謎をどう解決するのか?というお話。
アスカベ新刊、今年もちゃんと出ましたね。とは言え……うわー、すっげーつまんねー!間違いなく全飛鳥部作品中ワーストでしょう、今のとこ。しかしたしか『ラミア虐殺』感想でもおんなじようなこと書いたんだよなあ。大丈夫なのかアスカベ。いやね、どこがつまんないってこれ、倉知淳が某作品で試みたことを物凄く下手糞に、頭わるーいやり方でやってるだけのミステリなんですよ。見立ての意味にしても、意味わかんないなりに迫力があった『バラバの方を』とは大違い。おまけにラブ絡みのエピソードも今回弱いし。
正直言って、楽しめたのはお馴染みのヘン会話くらい。ワトソン役がバーで謎の美女と会話する場面とか、みんなで探偵小説の十戒だの二十則だのについて談義する場面での会話の描き方はさすがの上滑りっぷり。それぞれの登場人物が会話における自分の決まった役割(妻が喋ると必ず怒鳴って静めるとか)に完全にのっとって話すある種無機質な感じはこの作家独特のものでしょう。
いやあ、それにしてもやっぱりつまんなかった。ガッカリ。もうアスカベは新しいことしようなんて考えずにとりあえず美少女出しとけ!あとゴツくて情緒不安定な画家も!それで十分だから!