森奈津子『西城秀樹のおかげです』

ようやっと読めた百合エロアホSF短編集の金字塔(と言ってもそんな代物はこの本だけだろうが)。聞きしに勝る凄さ!この衝撃は田中啓文銀河帝国の攻防も筆の誤り』を読んだ時とも似ていて、何と言うか、新種のくだらなさを発見した気分?そんなことは置いといて内容紹介に行きましょう。
えーと、だから百合エロアホSF短編集なんですよ。ボケ担当の常軌を逸した変態っぷりにツッコミ担当がいちいち精神疲労の局地に立たされながら必死にツッコむというのが基本パターン。特に「哀愁の女主人、情熱の女奴隷」等に見られる、ツッコミの口撃をボケがそのマゾヒズムでもって華麗に受け流すという黄金形は素晴らしい!うっかり読んでると脱力死してしまう恐れがあるので注意が必要だ。
で、集中の個人的ベストはというとまずは表題作。人類最後の二人は妄想暴走タイプの百合娘とドラッグ・クイーンだった、というお話で、西城秀樹に関するネタの使い方の突拍子も無さと、欲望に忠実なのって素晴らしい!というオチが最高。他に、「天国発ゴミ箱行き」の作者自身をネタにしたギャグの歯止めの効かなさ、「地球娘による地球外クッキング」の食欲・性欲・SFマニア欲三つ巴対決の心躍るアホアホ展開、「エロチカ79」の小ネタ満載っぷりとセリフ*1の突き抜けっぷりと、もう、満腹だ!参った!ああっ堪忍して、後生ですからっ!

*1:例:「『後生だから』とおっしゃったからには、おとなしく緊縛されるのが、人の道というものではありませんか?」