三田村信行『オオカミ男のクリスマス』

こちらは既読作品なのだけど、2ちゃんねるの三田村スレッド*1等に刺激されて読み返してみました。人間社会の中にひっそりと紛れて暮らすオオカミ男最後の一人が、「オオカミ男は童話の中なんかでいっつも悪者扱いだ。汚名返上をしたいな」なんていう動機で秘密の作戦“SPO”を実行に移そうとする……というお話。どうだ、面白そうだろう。
その上さらに堪らないのが、作戦を進めようとするうち、ブサイクで陰気な性格なので女性に全く相手にされないこのオオカミ男の前に自分の全てを―オオカミ男であることすらも―受け入れてくれる女性、と言うか幼女が現れるというこの展開!あまりにささやかで微笑ましくも儚いこの心の交流に、ラストシーンでは落涙必至。僕も心の涙腺が全開になってしまった。オオカミ男が作戦名をいろいろと考える様子だとか身代金の受け渡し方法だとか、妙なとこでディテールの書き込み頑張ってるのも良し。僕が今までに読んだ三田村作品の中でもベストに入りますね。
と言うわけで、読みたくなった方は復刊ドットコム*2で投票お願いします。どうかどうか。