殊能将之『キマイラの新しい城』(背景色でのネタバレ含)

みんなが待ちに待った殊能たんの新刊ですな。やおいフィルターの付け込む隙ががら空きな“名探偵”石動戯作と助手のアントニオのシリーズで、今回はテーマパーク社長に取り憑いた中世ヨーロッパ人の亡霊の死の真相を探ってたら現実にも事件が!というお話。
事件関係者みんなでコスプレ探偵ごっこするくだりなんかは目の前が真っ暗になるくらい激安なコメディ調で面白いし、現在の事件の真相は本格ミステリのお約束にツッコミ入れる殊能たんお得意のネタで満足。行き詰ってしまった石動が取る推理方法とは?とか、過去の事件の真相を巡るシリーズお馴染みのやり取りの皮肉っぽさはいまいちピンと来なかった。これは『黒い仏』ほどわかりやすく提示されてないからかな。ディクスン・カーを読んでたらもうちょっと楽しめたのかもしらん。
さて、今作では僕は無意味にキャラが立ってる紅林と古根刑事コンビに反応してしまったわけだが、どうすればいいのかな。