芦辺拓『ネオ少年探偵 妖奇城の秘密』

芦辺たんったらいつの間にこんなの書いてたんだ。「6年の学習」っていう学研の雑誌で連載してたものをまとめたものらしい。「エンタティーン倶楽部」という叢書に収まってます。で、これが意外に楽しめた。少年少女探偵団がお城が消えたり仮面の悪魔が消えたりの怪事件の謎に挑む!というお話で、たぶん乱歩のジュブナイル路線狙ってるんだろうけど乱歩にしちゃ健康的すぎで、でもそんなことは問題じゃないのだ。説教臭さが無く、ワクワクドキドキがたくさん詰まっていて、トリックや暗号だって子供向けってことを言い訳に手垢の付いたの使ってたりしない、はやみねかおるより数倍良質な子供向け本格ミステリ。これなら大人も十分楽しめるだろう。犯行動機の無理矢理さなんか特に好き。
子供さん向けということでイラストがふんだんに使われていて、これもなかなか可愛らしくてよろしい。イラスト担当は芦辺拓専属イラストレーターの藤田香なのだけど、今回は森江春策の美男子化と新島ともかのロリ化がさらに進んでいるのが気になる……けどまあいいだろう。こんな所にまで出張ってくる森江というキャラが僕は好きです。癖がなくあまり印象に残らない少年少女探偵団キャラもイラストのおかげで萌えられるかも。主人公の少年が活発なタイプでなかったりするキャラ設定も個人的に好ましいなあ。いやあ、思わぬ収穫でした。お薦め。