中井拓志『quarter mo@n』

岡山県のある新興住宅地区で次々と続発して起こる子供の自殺や殺害事件。現場には必ず謎のメッセージが残されていた。事件の裏には恐るべき子供達の帝国があって……というお話。これは、やたらと分量の多い小説であるわりにいまいちな印象。そもそも実生活でも毎日会うような人達の間にこういう類のネット上での繋がりが生まれるものなのかなあ、という所からして疑問を抱いてしまった。話の落とし所も結局は「心無い大人達に押し潰された子供達の悲痛な叫び」みたいな感じに読めてしまって物足りないし。「帝国」の正体がはっきりつかめない前半はそれでもそれなりに面白いのだけど、ほとんど謎がなくなる終盤はあまり興味の続かない展開で、なんだかなあ。子供達が集団で大人を混乱に陥れる話が好きじゃないっていう僕の嗜好の問題かもしれないけど。
でも風野春樹さんの感想とかOKさんの褒めっぷりとかを読むとこの作者の一作目『レフトハンド』はなかなか面白そうなので、そのうち読んでみるかも。ああ、それにしても高村先生は可哀相だった。僕の興味はやはりそちらへ向かってしまうな。