HERO(背景色でのネタバレ含)

名立たる剣の達人である三人の暗殺者を打ち倒した功によって、通常は100歩までしか近づけない秦王に10歩まで近づくことを許された小役人無名。彼は三人を倒したいきさつを秦王に語り始めるが……というお話。わー、変なの。アクション映画なのに「藪の中」モノって。このへんの妙に捩くれた脚本がすごく美しいんだけど圧倒的に不自然な映像と何となく調和してる気もする。いや、映像は本当に綺麗で、非現実的なまでに統一された色調に唸らされるものの、いざアクションが始まるとあまり綺麗じゃなくなるのが不満。空中でのポーズとかなんだか間抜けでどうかと思った。アクションじゃなく舞踏として見たとしてもいまいちでしょう。非現実的アクションには『名人伝』みたいな感じもちょっとあったので、その線で突き詰めてほしかった。あと、あの残剣が最後に書いた文字にはびっくり。そんなオチでいいんだ?
キャストはなかなかに豪華なようですが(香港映画に明るくないのでよくわからん)、その中でも特に女性陣が頑張ってる印象。マギー・チャンはそんなに美人じゃないのにすごく美しく見えて、回りすぎ飛びすぎなアクションにも何となく説得力があるし、チャン・ツィイーはやたら可哀相な役柄にふさわしい可愛らしさ。いやあ、もうちょっとチャン・ツィイーを見たかったなあ。出番少ないよ。男性陣ではトニー・レオンの情けない表情が良かった。存在感はとても薄かったけど。