アーサー・C・クラーク『2001年宇宙の旅』

えー、スタンダード中のスタンダードですな。映画先にありきとは知らなんだ。謎の石版モノリスを巡り人類が宇宙人にいろいろ翻弄されるお話です。ヒトザル達の前に現れた謎の石版は何をなしたか?→その三百万年後、月面で発見されたのは……という冒頭部は大いに先を気にさせる展開でかなり乗せられてしまい、読みにくいんだろうなあなんていう読書前の思いもどこへやらでした。面白いじゃないか……。でも、終盤は何が何やらわからんかったよ。何やら物凄いビジョンが目前で展開されているということはわかるんだけど。
しかしまあ、宇宙船、月に着陸だの宇宙船乗員が宇宙空間で作業、だの今更糞珍しくもない描写にこうまで魅力が宿っているのはすごいな。前半の激しく好奇心が掻き立てられる展開といい、まさにこういうのをセンス・オブ・ワンダー!っていうんでしょうな。知らないけど。とりあえず面白かったよ、と。あと、映画のほうのあらすじは人工知能HALが反乱を起こす話だって聴いた気がするんだが、この小説だとほんのおまけみたいなネタでちょっと拍子抜けだった。