天国の本屋〜恋火

まだ生きてるのに本屋のバイトとして天国に連れてこられた健太はそこで子供の頃からの憧れの名ピアニスト翔子に出会う。一方、地上では翔子の姪・香夏子が翔子との悲恋に心破れて廃人となった花火師瀧本に商店街の花火大会でかつての名物「恋する花火」を上げてもらおうと奔走する、というお話。ベタな泣かせ話にわかりやすいファンタジー要素を絡めてみました、という感じで突出した所は何もないものの、ラストが爽やかで観た後それなりにいい気持ちにはなったので良し。ただ、どうせこんなベタな話なんだからもっと泣かせに行っても良かったんじゃないかなあ。瀧本が動いたきっかけをわかりやすく描写しておくとか。天国は百歳までの余った寿命を過ごす場所だっていう変な設定とか、トラクターの荷台に乗ってお別れ、花火の下でピアノ演奏、の映像なんかはなかなか幻想的で好き。
キャストでは翔子と香夏子二役の竹内結子が意外に雰囲気があって良かった。ちゃんと想いを残して死んだ人に見えるんだもの。健太役玉山鉄二との相性も良くて、二人が一緒に画面に映ってるとあまり退屈しない。瀧本役の香川照之は例によって情けなくて最高なんだけど、その魅力はストーリーとは無関係に発揮されているので褒めにくい。もっと出番があればなあ。さらに道民としては本作が北海道縦断ロケを行って撮影したものだということが気になる。あの「トラクターでお別れ」シーンの道路はどこなんだ!あそこに行きたいぞ僕は。あと、ユーミンの主題歌はやはり好きだ。マンネリっぽさも気にならない。