宮部みゆき『レベル7』

若い男女が見知らぬ部屋で記憶を失って目覚める。彼等が自分達の素性を探り出そうとする一方、謎の失踪を遂げた女子高生を探す電話カウンセラーは大きな事件に巻き込まれていき、彼等の運命は交錯する……というお話。これも確か一度読んだことのある本なはずなのに、見事なまでにすっかり内容を忘れてた。タイトルの意味すら。おかげで新鮮な気持ちで読めたのだけど、そのわりにあんまり展開に意外性を感じられず。うわー先が気になるーって状態にもならなかったし。長いわりにすらすら読めるくらいには平易で、良質だとは思うもののそれだけかなあ。ビル火災のネタはちょっと面白かったけど。
一番不満なのは主人公等がほとんど裏切られず、足場を揺るがせられたりしないあたり。特に健気なわけでもない人達なんだからいくらか傷ついてくれないと面白くないですよー。いい人そうな人は最後までいい人、悪い人そうな人は最後まで悪い人、って感じの展開も好きじゃないなあ。僕は寝返りキャラが好きなもんで。