森博嗣『堕ちていく僕たち』

それを食べると男が女に、女が男に変わってしまう謎のインスタントラーメンを巡る連作短編集。なんだかびっくりするほどつまらないなあ。こういう書き飛ばしっぽい仕事はいろんなことが露呈してしまう気がするのでやめたほうがいいんじゃないかと。この人が操れる文体って実は二種類だけ?とか、実はボキャブラリー少ないだろ、とか、やっぱりギャグ寒っ、とか。あと、変身する場面で人物の思考がトリップ状態になるんだけど、その思考の描写が下手糞な現代詩みたいで、もう、詩が書きたいなら詩で書け!と思うことしきり。でも詩集『魔的』に収録されてるようなのよりはよっぽど「詩」だと思った。まあ下手なんだけど。
個々の収録作については……えー、最後の短編のオチの付け方がすごく言い訳臭いと思いました。そんな風に「ただの手抜きじゃないんだぞ」って言われても……。全体的に生々しい肉欲みたいなものを描写するのを避けた結果、何故かやたらと女性幻想っぽくなってしまってるのは面白いと言えば面白いかな。でもそれって結構気持ち悪いよね、とか書いて終わりにしとこう。あ、あと解説が佐藤江梨子ってのはどういうことなんだ、一体。