戦場のピアニスト

あるユダヤ人のピアニストがドイツ兵の迫害から逃げ続ける様を描いた実話に基づくお話。「感動の実話ヒューマンドラマ」みたいな謳われ方をされていた(気がする)のに実際見てみると展開が早いわりに恐ろしく淡々とした演出で面食らいました。ラストもすげーあっさり!視点が主人公に寄りすぎ(なので、主人公以外の登場人物は主人公のそばを通り過ぎていくだけという印象)な所も含めて手記か何かをそのまんま映画化したような感じがあって、そういう意味での迫真さはあるかも。冒頭のピアノ演奏シーンは死ぬほどどうでもいい感じなのに、ドイツ将校の前でピアノを弾く重要なシーンはちゃんと印象的なことになっているのにも感心。
でもこれは僕にはいささか退屈だったなあ。序盤は家族ドラマっぽい部分があったり、今更そんなの見たくないよ、と思いつつもドイツ兵によるユダヤ人の無慈悲な殺害の描写になかなか惹き付けられたりでわりと楽しめたのだけど、それ以後は本当に淡々とした演出でちょっと飽きました。僕にとって一番問題だったのは主演のエイドリアン・ブロディがどうにも嫌味な顔に見えてしまったことで、この重大な出来事をこんな奴の目を通して見たくはないなあ、という思いが消えなかった。序盤は無鉄砲な弟君(萌え)との絡みがあったおかげでそれほど不快感を感じずに済んだのだけど。
で、僕がこれを見たのは『ゴッド・ディーバ』(→感想)でニコポルを演じた男前、トーマス・クレッチマンが準主役級で出ていると聞いたから。しかしクレッチマンの出番は映画始まって二時間ほど経ったころにちょろっとあるだけだった。少し、愕然としました。いや確かに重要な役柄だし、金網の向うから話しかけてくるシーンではかっこいいと思ったけど、でも、あんまりだ!(僕の期待に対して)しょうがないからこれからの出演作(特に『バイオハザード2』!)に期待することにする。