西澤保彦『いつか、ふたりは二匹』

講談社の子供向け企画「ミステリーランド」の第四回配本。猫に乗り移る能力を持った男の子が連続児童殺傷事件解決のため奔走するお話。軽く読めて、ちょっと物足りない感もあるものの微笑ましい。この作者得意のSFミステリみたいに猫に乗り移る能力が事件に密接に関わってくるわけではなく、あくまで味付け(と、ちょっとの意外な展開)のためだけにあるってのも正解だと思う。とは言え事件の真相に関しての部分でちゃんとサプライズもあって、軽いミステリとしては普通に合格点。子供に読ませるには本当にいいかもしれない。
ただ、これまた作者お得意の「人の行動を勝手に分析してドロドロな心理をあぶり出す」みたいなのをあまりスマートでないやり方でやってしまっていて、その部分でバランス崩してる感が無きにしも非ず。あと、こら西澤!何も子供向けの本でまで難読人名を使うことないだろうっての!そういう変なこだわりはあまりかっこいいものじゃないと思う。