森奈津子『からくりアンモラル』

念願の森奈津子初読み。わーい、期待通りレズビアンでエロで面白い!でもこの短編集の企画にちょっと問題がある気が。同じ傾向の短編ばっかり集まりすぎてて、後のほうになると少し飽きてきてしまったよ。もちっとバラエティに富んだラインナップでも良かったですね、きっと。
さて中身ですが、大体「少女」「性倒錯」「レズビアン」等のキーワードで括れそうなお話が収録されてるという体裁。おっと、忘れちゃいけないこれは一応ハヤカワのSFJコレクションから出てる本なので、SF要素も全収録作に含まれてます。少年が思いっくそ陵辱される話もいいものの、やはりと言うか何と言うか少女が自分の性と生を見つめるお話が面白い。特に表題作の「からくりアンモラル」。うーつくしー。初潮を迎えた少女がロボットとの間に奇妙で安らかな関係を見出すお話ですが、主人公の性格歪んだ少女に芽生えるある感情の描き方がとっても綺麗。個人的には集中のベスト。
他にもタイムスリップしてきた未来の自分達に陵辱されて性と生への新しく美しい認識に目覚める少女の話「あたしを愛したあたしたち」、タイトルそのまんま、悦ばしくも倒錯的な関係に堕ちていく双子の姉妹の話「一卵性」など、いろいろ面白いです。少女達だけで完結した美しい性愛の世界が読みたい人は是非どうぞ。