ジュエルに気をつけろ!

「雑誌に載ってるようなステキな家に住みたい」とかいう戯けた夢のみを行動原理として突き進むセクシー美女ジュエルに男三人がそれぞれ勝手な幻想を抱いて翻弄され、最後には……というお話。映画は三人の男がそれぞれ違う相手にジュエルとの馴れ初めを語るところで始まるのですが、この三人の行動が交錯し、視点が移り変わるその語り形式におおっ、ちょっと面白いかも、と思ったのもつかの間、20分くらいで飽きました。これは手法を工夫したからって話のつまらなさが誤魔化せるわけではないってことだろうか。ザッピング具合が物足りなかったのも事実なので、もっと頻繁に視点を変化させても良かったんじゃないかな。
男三人も客観視点に取り込まれ、話が動き出す終盤の展開は何となく期待を抱かせるものの、結局ブラックユーモア崩れみたいな泥臭い終わり方でちょっとがっかり。最後までノリが悪いままか……。ブラックなギャグははもっと挑発的にやってくれないと。変な場面で「YMCA」を流したりする音楽の使い方もダサダサ感に溢れていてどうかと思う。やはり一番の問題はジュエルに小悪魔っぽい魅力が足りないところにあるんだろうなあ。演じているリヴ・タイラーは確かに柄じゃないものの、演出次第でもうちょっとどうにかなっただろうに。ひたすら泥臭い映画でした。