桐生祐狩『夏の滴』

うはははは、面白い!もう頬がニッコリ緩んでくるくらい、最後の一行までインモラル。ひどい奴ばっかり!ひどすぎて笑けることこの上なし。親子キャンプ以後の展開がすごすぎてウキウキしてしまったよ僕は。こないだ読んだ『剣の門』(→感想)も凄まじく意味不明な方向へ暴走する展開が面白かったけど、これはさらに素晴らしい。この作家は以後要注目としよう。『フロストハート』も読みたいんで早く文庫化して下さいな。>角川さん
とまあ、実に楽しかった。説明しにくいストーリーを一応解説しておくと、車椅子の男の子含む小学4年生の仲良し文系トリオ(ちょっと不良)は、何の疑問もなくクラスの女の子を苛めたりしつつも子供らしく楽しい毎日を送っている。しかし最近町の大人達の様子がおかしい。みんな妙に羽振りがいいのだ。彼等は疑問を解決すべく行動し出したが……みたいな話。自分では意識してないけど実はインモラル性を持った主人公達の前にどどーんと明らかに常軌を逸してインモラルな人達が立ちはだかり、結果何故か主人公等も自分達のインモラル性に気付かされてしまう(でも別に反省したりしない)、というところが面白い。「聖人」的位置づけのキャラが一番頭おかしいのも面白い。とんでもない方向に回収される伏線も面白い。ま、まさか「植物占い」にそんな意味があったなんて!?ともかく素晴らしく面白い本なのでホラー読んで笑いたい人は読むといいよ。おすすめ。