三田村信行『ぼくが恐竜だったころ』

ブックオフで発見して確保しておいたもの。三田村の本、もっと古本屋にないかなあ。集めたいなあ。ちなみにこの本は小学生の頃に読んだはずで、しかし読み直してみるとやはりディテールはほとんど忘れてた。お話は、恐竜マニアの博士に誘拐され、恐竜が絶滅する寸前の時期に恐竜の姿でタイムスリップさせられることになった少年の悲喜こもごもを描いたもの。話のメインとなっている主人公とメス恐竜の恋模様はわりとどうでもいい感じながら、主人公と同じ目に遭わされて恐竜化した少年達との間の不思議で哀しい心の交流がなかなかに読ませる。それにしても登場する大人がヒドい人ばっかりで全く信用ならないのはいつもながら歪んでていいなあ。この作家のそういうところが好きだ。
と言うような感じで、恐竜好きな人には是非おすすめ。「恐竜に変身させられてしまった少年達の悲哀」とかいう妙なテーマに引っかかる人にもおすすめだ。勿論三田村ですから、暗ーい児童文学が好きな人にもおすすめ。今作も最後の最後に無慈悲なオチが待ってます。どうしてこういう余計な展開を付け加えるかなこの人は。たまらないぞ、全く。