イン・ザ・カット

人との関わり合いを半ば絶ち、空想の世界に生きているような中年独身女教師が恋に出会い、それと同時に連続バラバラ殺人事件に巻き込まれていくお話。んー。どこを面白がればいいのかよくわからない、という印象。こっちの事情として物凄く眠いときに見てしまったということもあるけど、それがなくてもわりと退屈な、眠気を誘う映画だった。揺れまくるカメラとボケた画面がその催眠性に拍車を掛けている感じ。たぶん重要なポイントであろう主人公の心理もとても追えたもんじゃありませんでした。この主人公って必要以上に情緒不安定で、どの場面での言動が汲み取るべき感情表現なのかよくわからないんだもの。
僕は主にサスペンスとしてこの映画を見たのだけど、結果としてそれは一番つまらない思いをする見方だったかも。「この人が犯人だといくらなんでも意外性が無さ過ぎるので作劇上この人は絶対に犯人でない」と観客には重々わかっている人物を主人公が終盤までしつこく疑い続けるので、非常にまだるっこしい思いをすることになる。で、最後まで見てもやっぱりどうでもいいオチだし。ラブストーリーとしてはもうちょっと面白いかもしれないがなんせ前述のように主人公の心理が(略)なのでどうにも。主人公の幻想の光景が悪夢に変わるシーンとか、ラスト、血まみれで庭を歩く主人公の姿とか、綺麗とも言えるシーンが幾つかはあったけど。セックス・シーンもわりと良かったかな。なんでも、男優の陰茎が映ってたとか映ってなかったとか。ああ、もっと注視しておけば(下世話ですみません)。
キャストではさり気なーくケヴィン・ベーコンが出ててびっくり。中盤まで気付きませんでした。しかしこのどうでもいい役にケヴィン・ベーコンを配することはドラマの構成上足枷ではないかな。僕としては意外に二枚目に見えて目の保養になったので文句は無いのだが。メグ・ライアンは普通でした。音楽は暗ーいアレンジの「ケ・セラ・セラ」が印象的で、見終わった後耳にこびりつくこと請け合い。