恋愛適齢期

今まで一度も本気の恋をしたことのない売れっ子女性脚本家ダイアン・キートン若い女性にしか興味の無いジャック・ニコルソンが互いになんとなく惹かれていって……というあらすじだけ読むとかなりどうもいい感じなのに、実際見てみるとシーンごとにいちいちトンチの利いてる画面とキチキチ伏線を拾って行くテンポのいいストーリー展開に目が引き付けられ、退屈する暇がほとんどないのだから感心する。終盤ちょっともたつくけど。
あまりクレバーな匂いをさせずに、でも寒々しくはならない微妙なユーモアの匙加減は凄いかも。老眼とか高血圧とかの年齢ネタなんて特に巧い使われ方をしていると思う。ロマコメとしても、チャットでの会話→家の中でのデートのシーンみたいに「老年ならでは」な感じのロマンチック演出が実に巧くいっていてあまり文句をつける所がない。ニコルソンのゴロンゴロンした体とかキートンの過剰になる寸前の身体表現とかをうまーく利用しているので、彼等が魅力的に見えるし。ニコルソンの同年代の女性に心惹かれる戸惑いとか、キートンのニコルソンを諦めるまでの心理とかについて描写があまりされないあたりがちょっと不満だけど、いやしかし巧い映画だ。残念なことに話自体があまり趣味じゃないんでそれほど好きにはなれないけども、しみじみ巧いなあと思う。