ノーバディーズ・フール

クリスマスの季節、田舎町に住む不良老人ポール・ニューマンとその周りの人々を訪れる様々な出来事を描き、彼等を優しく祝福する映画。なんかいかにも“いい話”、“いい映画”で、そのいかにもな感じがちょっとだけつまんなさを生んでいるような気もしつつ、でもやはりこれは素敵なものだな。認めなければなるまい。はっきりとした本筋は無く、何気ないエピソードの積み重ねで幾分不親切に語られるストーリーは、寂しさを含みつつも最終的には確実に幸福感をもたらしてくれるもので、見終わった後はかなりいい気分になる。特に万馬券というモチーフの使い方なんて(ありがちだけど)良いなあ。とても好き。
出てくる役者がまたみんないい感じで、ポール・ニューマンはじいさんなのに途轍もなくチャーミング。死にかけだけどまだ死んでない目が良い。過去の失敗を背負ってる感じ、ぶっきらぼうさの奥に思いやりが潜んでる感じにはとても説得力がある。ジェシカ・タンディの可愛らしくも芯の強そうなおばあちゃんっぷりも良いなあ。唯一ブルース・ウィリスにはちょっと違和感があったものの、これはたぶん見てる側(僕)の問題だろう。いい映画でした。