恋人までの距離

タイトルは距離と書いてディスタンスと読ませます。これまた泣かせますね。意外なことにわりとアート志向っぽい映画で、電車で乗り合わせた男女がウィーンをぶらぶら歩きながら一夜を共に過ごし、翌朝別れるまでを、彼等の益体も無い会話の様を延々映すことによって描くという、いかにも退屈しそうな趣向のもの。実際、僕は退屈しました。何しろセリフのある登場人物がほぼ二人しかない上に、映像にもほとんど動きがないという厳しい条件。これで画面を持たせるのにイーサン・ホークジュリー・デルピーって人の二人ではキツいんじゃないだろうか。もっと雰囲気のある巧い役者がいるのじゃないかという気がするよ。いやイーサンは好きなんですけどね。でもこの映画の彼は(役柄とは言え)嫌な感じに子供っぽくてまるで魅力的でないので。
そもそもこの映画の主人公となるカップルはまるで気が合ってるように見えなくて、その気の合ってなさが醸し出す気まずい空気に(たぶん演出上のものとは言え)不快感を感じるくらいなのだが、それでも愛し合ってるということらしく、うーん、説得力に足りない感じ。これがリアリティってことなんですかね。まあ、僕には見る所のない映画だったということで。