ポール・オースター『偶然の音楽』

mix deepest第8回課題本『リヴァイアサン』の予習のために読んでみた。ちなみにオースターの本を読んだのは初めて。
これは、なんだろうな。中盤までのスピード感のある展開に比べて、中盤以降は何が起ころうとそれは所詮「行き止まり」の中の出来事でしかない、というような印象を最後まで読んで持った。一度行き止まると二度と元のペースには戻らない、というような話なのかな。登場人物や出来事が全て主人公の心情に影響を与えるためだけに作品の中に存在しているような感じがちょっと不思議で、男二人がベタベタしてもBLっぽい空気が全く生じないのはこれが原因だと思った。なんか、最後に主人公以外の登場人物全員が主人公の前に揃って出てきて「ドッキリでした」って言いそうな雰囲気があると言うか。
結論として、全体的には僕にはそんなに面白くなかったな。中盤以降はあまり読んでて気持ちいいもんじゃなかったので。いい意味で気持ちよくない、ってのとも違うし。面白かったのはポーカーのシーンとか、ポッツィの過去語りシーン、盗んだ人形に関するくだりなど。